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暴騰・暴落

代表的なオープンマーケットとして知られる株や為替の市場では、世界中から膨大な注文が寄せられ、値付けが行われており、その価格は秒単位で激しく揺らいでいる。 古典的な経済理論によれば、需要と供給の均衡と言う概念に基づき、理想的なオープンマーケットでは、市場価格が安定すると考えるが、 現実にはオープンマーケットにおける市場価格変動は非常に不安定で、その変動の大きさがベキ分布に従っている事が知られており、標準偏差の数十倍という大変動が日常的に発生している。 そして、そこではしばしば、単純な確率的なゆらぎでは起こりえないような急激な上昇や下降、いわゆる暴騰・暴落を招き、世界中を混乱させている。 そしてこのような現象は、その語源ともなったイギリスの南海泡沫事件から、ブラックマンデーやITバブルなど記憶に新しいものまで、数百年二渡り度々発生している。 また、このような現象を詳しく見ていった結果、以下のことがわかった。

1. 指数関数成長

指数関数的な価格変動は、株式市場のバブルやインフレーションによく見られます。このような変動は、単純には過去の価格に対し、1を超える一定フィードバックがかかる事によって発生します。つまり、常に現在の価格が一つ前の価格のX(X>1.0)倍になっていくような場合です。無論株式市場の価格変動はこのような単純なAR過程には従っていません。しかし、バブルの結果として現れた価格変動において、指数関数でよく近似する事が出来るのは非常に興味深く、そこには時代や発生要因などの理由とは全く別の普遍的な動力学が存在すると期待されます。

2. 2重指数関数成長

2重指数関数的な変動は、ハイパーインフレーションと呼ばれる現象において一般的に観測される事が示されています。 これは、上述の指数関数成長時のXが一定値ではなく、時間の指数関数に従っている事を示しており、指数関数の肩に指数関数が乗っている事から、2重指数関数と呼ばれます。

以上のような二種類の関数型で、バブルやインフレーションをよく定義する事が出来ることが分かってきました。 ここで重要なのは、このような変動がなぜ現れるか、その動力学です。 我々は、この問題に対し、膨大な市場データを用い、暴騰・暴落時の価格変動の統計性をはじめ、その特徴を捉える事で、動力学を解明することを目的としている。

3. 市場は漫画よりも奇なり(おまけ)

とある少年漫画において、指数関数的な変動が観測されている。 この漫画は、「主人公と悪が戦い、その悪を倒すとさらに強力な悪が現れる」と言った内容で、少年誌にはよくある展開である。 面白いのは、この漫画において主人公や悪の強さが数値で表されている事だ。 この事により、読者に、その強さに対し具体的なイメージを与える事が出来、どれだけ強力な相手なのか、主人公はその強力な悪に対し、どう対処するのか、といった期待感を与える事も出来るだろう。 同時に、「次の悪はこのくらい強いのではないか?」、「前の悪よりもこのくらい強くあってほしい」という期待もするだろう、 そして、作者もその期待を反映しようとする。その結果として現れた数値の変遷が、綺麗な指数関数になっているのである。 無論、漫画は虚構で、数値自体には何の意味もない。 しかし、これが様々な人間の期待によるフィードバックがかかった結果として生み出されたものであるという視点に立つと非常に面白い。 つまりこの指数関数は、人々の「もっともっと」という欲望が生み出したものなのである。

一方、90%以上が投機目的といわれる金融市場において、その価格変動は秒単位で激しく揺らいでおり、暴騰・暴落が発生する。 例えば、株価は会社の価値規準と言われるが、一企業の価値が秒単位で激しく変化するのは奇妙な話である。 まして、暴騰・暴落のように、数ヶ月で株価が数百倍にもなり、次の数ヶ月で数百分の一になるなど、もはや現実的な事とは言い難い。 それどころか、指数関数変動という視点から見れば、「漫画みたい」とも見れる。 さらに驚く事に、先に述べたようにハイパーインフレーションにおいては、その変動は2重指数関数となり、 その結果第2次大戦後のハンガリーでは、当時流通していた通貨単位ペンゴに変えて、1フォリント(=4×1029ペンゴ)という新通貨単位が導入された。 (詳しくは,著書「エコノフィジックス-市場に潜む物理法則-」を参照)。 「1ペンゴ札は,1フォリント札の分子1つ分の価値もない」、漫画でも起こりえないような事が、実社会で起きている。