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高安研究室とは

高安研究室では、既存の物理学が扱わなかった幅広い分野の現象を統計物理の手法を用いて解析しています。 この研究室で研究を行っているテーマは、様々な分野で横断的に観測されるような現象の基本数理モデルの構築と解析、多数の人間の相互作用により生じる経済や社会の現象、生命情報システムの解明などです。 コンピュータが発達した今日、これらの研究テーマは、最先端の統計物理学および複雑系科学の世界をとおしてみると、新たな発見の宝庫です。 高安研究室は20世紀の物理学が成しえなかった様々な要素が絡み合う複雑な現象の解明に挑みます。

「21世紀の新たな研究分野の開拓に挑む」

一般に研究対象が実証科学として広く受け入れられるためには、精密で再現性のある観測ができることが大前提です。 逆に言えば、最近、精密な観測ができるようになり、膨大なデータが蓄積されてきているような新しい研究対象があれば、そこから新しい科学、新しい物理学が誕生してくると期待されます。

また、科学の発展は、その時代の社会的ニーズに答えるように発展してきました。 科学者が求めている現象の解明と産業界のニーズがぴったりあった分野が大きく発展してきた歴史があります。 たとえば、17世紀には国家の覇権に直結していた大航海時代の船の位置測定(天測)に必要だった惑星運動に関する研究が進み古典力学が完成しました。 18世紀には炭鉱内に溜まった水を汲み出すための機械として熱機関が発明され、熱や温度に関する研究が進み、熱力学が誕生しました。 19世紀にはモーター・電話・電報・電灯などが発明され、電磁気学の基礎方程式が作られました。 20世紀初頭には「鉄は国家なり」と言われたように製鉄技術が国を支えていましたが、高炉の温度を測定する問題から派生して量子力学が誕生し、原子が発見され、統計物理学の基盤が確立されました。 社会のニーズに敏感であることも科学の発展には欠かすことのできない重要な要素なのです。

それでは、21世紀を見据えてどのような研究分野が精密な観測が可能となり、 なおかつ、社会のニーズがあるという条件をみたしている新分野なのでしょうか?

このような分野を考えるにあたって、20世紀末に大きく発達した高度な情報技術がもたらしたインフラの整備を無視することはできません。 世界中が巨大な情報ネットワークで結ばれ、リアルタイムで情報通信される21世紀の世界は、まさに情報が氾濫する情報爆発の時代を迎えたのです。 これにより大きく様相を変えたのが経済活動です。 整備されたインフラを利用してPoSシステムや電子マネー、コンピュータトレーディングに象徴されるように、人間社会の活動には広くコンピュータシステムが導入され、経済活動は高速化・複雑化しています。 このような時代において、安定した社会生活を維持するためには、人間活動の膨大な高頻度データを多角的に高速に分析することが不可欠となっています (経済物理学の研究)。

また、私たちの日常生活のコミュニケーション手段も大きく変化しました。 情報ネットワークの整備により、携帯電話やコンピュータを活用した電子メールによる情報通信や情報検索は私たちの日常生活の利便性を画期的に向上させました。 このような時代の新たな社会問題としては、情報の“量”“質”が問題になっています。 情報の量に関する問題としては、インターネットの規模の拡大によるネットワーク構造の複雑化と利用者の増加がもたらす通信効率低下の問題です。 巨大な自律分散システムにおいて、どのような通信制御方法を用いればもっとも情報転送効率が高くなるかという研究は、 情報通信システムの構築に関わる重要な基礎研究テーマであるばかりでなく、将来、脳という神経細胞の巨大ネットワークにおいて、 どのように膨大な情報通信がなされているかという問題と密接にかかわってくることが期待されます (自律分散システムにおける情報輸送の研究)。

また、情報の質に関しては、WEB上で無造作にどんどん氾濫したしていく情報からいかに有意義な情報を見出すかという問題があります。 この情報の質に関しては、人間の集団心理としてどのように流行が形成されるかなど、 新たな普遍的な人間の行動に関する法則性が見えてくる画期的な分野に発展しています (ブログサイトの口コミ情報の解析)。

「統計物理学の発展と新分野の開拓」

今、最先端では既存の学問の境界線がどんどん不明確になっています。 ものごとの性質や現象を解明するには多角的な研究が必要であることが認識されてきたからです。物理学も例外ではありません。 最近では物理学の研究対象は、物質のもつ性質やその相互作用にとどまらず、人間の複雑な相互作用がもたらす社会現象や経済現象の解明にまで及んでいます。 人間個々の振る舞いは、個性がもたらす多様な個別性が観測されます。 しかし、その集団的振る舞いには、普遍的な法則があることがコンピュータの進歩によって蓄えられた膨大なデータを解析することによりわかってきたからです。

特に個々の構成要素(ミクロ)の性質がわかったとして、それらがたくさん複雑に相互作用する系全体(マクロ)の性質として自明でない現象が観測されるような研究対象は、気体分子の1つ1つの運動から、たくさんの分子からなる系で満たす気体の状態方程式を導出することに成功した統計物理学という分野において盛んに研究されています。 統計物理学の分野では、この半世紀、物質における相転移、自己組織臨界現象の解明と定式化が進められ、20世紀後半からはその概念を拡張し、研究対象を生物・情報、そして経済や社会の現象へと拡大してきました (基本数理モデルの構築と解析)。

たとえば、生物物理学などは、大きく発展している学際分野の1つです。 先に述べたミクロとマクロという概念から述べると、たとえば、1つ1つの神経細胞は脳という巨大な神経細胞のネットワークを構成するミクロということになります。 ミクロを構成する神経細胞の電気生理学的な特質は詳細にわかるようになってきましたが、それが複雑にネットワークを作ることによって創出される思考・感情といったマクロである脳の高度な機能についての解明は、まだ始まったばかりです (生命情報システムの研究)。

また、経済現象や社会現象においては、構成するミクロは人間1人1人です。 その1人1人の行動が互いに影響を与えることによって、多くの人間の集団行動が現象として観測されます。 多数の人間の複雑な相互作用を解明しようとする経済物理学の研究動向もコンピュータの発展により進歩した破壊現象や地震現象のような非平衡開放系の統計物理学の研究の発展と深く関わっています (経済物理学の研究)。

「研究テーマの具体例」

check 基本数理モデルの構築と解析

時空間の自己相似パターンやベキ分布、長時間相関を生み出す単純な数理モデルの構築と解析を行い、臨界現象の背後にあるダイナミクスの普遍性を追究します。

  1. Potential of Unbalanced Complex Kinetics ( PUCK-model )
  2. ランダム乗算過程と自己変調過程の研究
  3. ネットワーク上の輸送システムモデルの研究
    1. 方向性のある輸送モデルと渋滞現象 (1993 Takayasu, Takayasu)
    2. Finite Portion Transport Model
    3. 分岐構造上の空間輸送モデル

check 経済物理学

実証的なデータに基づき、たくさんの人間の相互作用により生じる経済や社会の現象を解明する研究分野です。 人間の集団心理・集団行動の物理学。日常生活で身近に感じる話題が少ない物理学において、日常的な直感を研究に活かせるユニークな研究分野です。

1990年代に、物理学の視点から高頻度の経済データを解析する経済物理学という新しい研究分野が誕生しました。例えば、株や為替などの市場における秒単位の時系列データを自然現象と同様に解析し、その特性を研究します。 この研究では、原子分子の運動からマクロな物質の特性を解明することをテーマとする統計物理学という分野の基礎概念や手法を応用して、カオス・フラクタル・相転移といった複雑システムの解析の手法を経済現象の解明に導入しています。

  金融市場を例にとると、既存研究には計量経済学や金融工学があり、現象を確率論として記述する先行研究がおこなわれています。 しかし、ブラックマンデーに象徴されるような金融市場の連鎖的な市場価格の暴落のメカニズムを解明し、リスクを能動的に回避するための研究などは十分なされてきていません。 経済物理は、市場の不安定性を生み出す非線形動力学を膨大なデータから帰納的に導出し、なぜ、どのようにして変動が生じるのかという根本的な問題にまでさかのぼって現象を解明します。 現在、経済物理学の研究は金融市場に留まらず、企業間の財務や取引、小売の販売にも対象を広げ、膨大な高頻度経済データを実証科学的な視点で分析する解析手法の開発が進められており、アカデミックな世界だけでなく、企業からも実務への応用が期待されている分野です。 経済活動のデータに基づいた詳細な分析に関しては、社会のニーズが極めて高く、企業などとの共同研究も活発に行われています。 個別の具体的な問題の研究を通して、広く、人間集団の社会的な行動の理解を深めて行きたいと考えています。

経済物理学の具体的なテーマについては、現在下記のように想定しています。

  1. 金融市場の研究
    1. 金融市場の高頻度データ解析
    2. 金融市場の数理モデル構築
      1. PUCKモデル(時系列のモデル化)
      2. 金融市場のディーラーモデル(人間の行動のモデル化)
      3. 暴騰暴落の数理モデルと時空間くりこみ
    3. PUCKモデルの実践的応用の研究
  2. 小売における販売戦略および購買行動の特質、および、流通・販売ネットワークの研究
    1. 小売販売データ解析
      1. 全国スーパーマーケットの販売データ
      2. 全国コンビニのPoSデータ
      3. 電子マネーによる流通データの解析
      4. インターネットの口コミ情報と商品販売のデータ
    2. 最適販売戦略モデルの研究
  3. 企業ネットワークの研究
    1. 企業ネットワーク構造解析
      1. 日本企業100万社の取引ネットワーク解析
      2. 日本企業100万社の財務データの解析
      3. 銀行の系統樹解析
    2. 企業ネットワークの数理モデルの開発
  4. ソーシャルメディアの研究

これらのほかにも、膨大な高頻度データを扱う全ての経済現象を対象とします。

check自律分散システムにおける情報輸送の研究

インターネットは情報を電子的輸送する巨大な自律分散システムです。 そのような巨大システムにおいて、情報流を測定するとパケットの密度ゆらぎにパワースペクトルが1/fに従うようなゆらぎが観測されることがわかってきました。 そのような現象の背後には、単位時間あたりのパケットの流れをコントロールパラメータとする、渋滞相と非渋滞層の間の動的な相転移現象が起こっていることを解明しました。 さらに、インターネットのプロトコルを詳細に解明し、システムで最も効率的な輸送が実現するのが臨界点であることを示しました (臨界点制御)。

インターネットが人工的につくられた世界最大の情報輸送システムであるならば、私たちの脳は、自然界が生み出した正に奇跡ともいうべき高速で大規模な情報処理を行うシステムです。 神経細胞の特質は詳細にわかるようになってきましたが、神経細胞が複雑にネットワークを作ることによって創出される思考・感情といった脳の高度な機能についての解明は、まだ始まったばかりです。 そのような生命情報システムから生じる機能の研究は複雑系科学の理解が深まるにつれて、さらに発展することが期待される分野です。

  1. インターネットの輻輳現象に関する研究
    1. インターネットの情報流の実測データ解析
      1. ルータで観測されるパケットの密度ゆらぎ
      2. 固定されたルートでの観測される輻輳現象
      3. 輻輳が引き起こす動的臨界現象および臨界点制御について
    2. インターネットの渋滞現象のシミュレーションによる解明
    3. インターネットの渋滞制御の研究
  2. 生命情報システムの研究